当社では、ハードウェアのリース切れに伴い、メールサーバーを既存のLinuxベース のものからExchangeサーバーへ移行するためのプロジェクトを進めていました。 そこで大きな課題となったのが、長年の運用によってメールサーバ上に蓄積された 膨大なメールデータでした。 当社では5年前からそれまでのPOP3からIMAPによる運用に切り替えたのですが、 メールデータをメールサーバー側で保存するようになった結果、メールボックスあたりのサイズがユーザー毎に平均5GBとなりました。 この約1.5TBのデータをどう移行するかが大きな課題でした。
こうした課題の原因となっている膨大なメールデータの大半は滅多に参照されることのない過去のメールです。 これを無条件に移行するには必要となるハードウェア要件が上がってしまい、コストパフォーマンスの観点からも大きな無駄であることは明白でした。 そこで、一度はメールデータの移行そのものを見送ることも案の一つとして検討しました。
そこで、既存のメールデータは新サーバーへ移行しない方策について、ユーザー部門に 相談してみました。ところが、以下の理由によりユーザーからは猛反対される結果となりました。
そこで何とか現行のメールサーバーのデータを参照可能な仕組みが作れないか、再度検討を行うことに なりました。
ハードウェアのリースやソフトウェアのサポート切れにより、現行のサーバーをそのまま残しておくわけにはいかない為、メールの保存先としてメールアーカイブ製品の導入を検討しました。 メールアーカイブ製品であれば、新メールサーバーと組み合わせて今後も活用することができるからです。具体的な要件は以下の通りでした。
そこでいくつかのメールアーカイブ製品と併せて、Windowsプラットフォームで簡単に 試せる点と、エンドユーザー向けの使い易さを特長とした製品ということでMailStore Server を評価してみました。 他の多くの製品が、アプライアンスやLinuxプラットフォームでの提供であったり、 別途データベース製品が必要であるのと比べ、簡単に試すことができるのがポイントでした。
メールをアーカイブするのにメールサーバーの設定を変更する必要が ないので、自分のメールボックスを使って簡単にアーカイブして、動作を 確認することができました。
最終的にMailStore Serverを選択したのですが、選定ポイントは次の理由です。
MailStore ServerはIMAPサーバー機能を搭載している為、使い慣れたメールクライアントを使ってアーカイブされた過去のメールにアクセスできる点がユーザーから好評でした。
他の多くのメールアーカイブ製品が、メールゲートウェイとしてあるいはミラーリングポートを使用 してメール受信したタイミングでアーカイブを行う為、基本的には製品を導入した後のメールしか取得することができません。
一方、MailStore ServerはIMAPを使用してユーザーのメールボックスからメールを取得することができるので 既存のメールサーバーのデータを簡単にアーカイブしていくことができました。
MailStore Serverを導入しなかった場合と導入した場合とで比較すると、ハードウェアの見積は次のような差がありました。
Exchange Server
HDD: SAS 15krpm 300GB x 8 (RAID5) (実効 2.1TB) ¥938,700
Exchange Server
HDD: 15krpm SAS 300GB x 3 (RAID5) (実効 600GB) ¥490,350
MailStore Server
HDD: 7.2Krpm SATA 1TBGB x 3 (RAID5) (実効 2TB) ¥211,050
結果的に、Exchange Server単体よりも導入コストが低く抑えることができました。 将来的な拡張もMailStore Server側で行えるので、安価なディスク追加で済みます。
MailStore Serverを使った結果、既存のメール環境の構成を変更することなく次のようにメールサーバーを移行することができました。